晩秋の銀座で芸術のはしご ~知的好奇心は無料で満たす~

金属が好き、集合・整列が好き

そんな嗜好の私を満たしてくれる芸術作品が、銀座の2カ所で展示されています。
近いエリアで芸術作品のはしご、とても嬉しいです。

冷たい未来都市『RPM-1200』に立ちすくむ

メタル展
榎忠 遠藤麻衣子 エロディ・ルスール
銀座メゾンエルメス ル・フォーラム

『RPM-1200』 榎忠   メタル展 

榎忠(えのき・ちゅう)さんの『RPM-1200』という作品を観たくて銀座エルメスまで行って来ました。
工業部品を手作業で一つひとつ積み上げたこの作品名『RPM-1200』は、旋盤の回転数(1200 Revolutions Per Minute)を表しています。
榎忠さんは、定年まで金型職人として勤めあげた方だそうです。
金型のプロが造る無数の工業部品の集合体は、まるで未来都市のようです。
それはキラキラ輝く未来都市とは違います。金属の冷たい光沢と暗い反射、屈強な硬さ強さでそびえ立つダークなイメージ。
植物も許さない無機質な人間の英知と過ちの都市。そんな印象を持ちました。

機械部品が使命から解放されたとき

鈍い金属の反射
光の当たり方で表情が変わる
どこかの国の都市のような

この展示を観てから、機械部品の「使命」とは、なんてネットで調べてしまいました。

集合体として特定の機能や目的を達成すること。
機械部品の「使命」は、**「精度高く、確実に、与えられた機能を果たし、機械全体の目的達成に不可欠な役割を果たすこと」**と言えます。

部品は造られたときから集合体の一部としての使命を持っているんですね。
それを本来の目的から外れて集め、積み上げ、芸術作品としたこの作品、本当にかっこいいです。部品一つ一つを眺めながら、どんな機械のどんな場所で使われるのか気になりました。

家電修理の後に、小さなネジが落ちていただけでも心配になりますよね。
部品のその大きな役割をみんなが認知しているってすごい存在だと思います。
名もなき町工場から生まれた技術が、こんな形で世界観を築いていることに胸が熱くなりました。

鏡で映す、見えない世界

『この世界の捉え方』  髙田安規子・政子
資生堂ギャラリー

『この世界の捉え方』  髙田安規子・政子  資生堂ギャラリー

メタル展の金属の密集した未来都市から、視線は一気に宇宙へ広がります。

宇宙の誕生から、生物が進化してきた時の連なり、人類の活動の軌跡や蓄積、個と全体の相補的な関係に目を向け、多様な存在とともにあるこの世界を捉え直します。

今回の展示では、『Relation of The Parts to The Whole』大小の鏡が壁に広がる作品を楽しみにしていました。鏡の集合が美しい作品です。

鏡の奥に広がる空間
217枚の鏡が広がる作品

鏡の国のアリスのように異世界への入口、鏡に映らないものが映る、見える、鏡はちょっと神秘的で怖いイメージがあります。自分がどう映るのか少し怖くて、つい斜めから覗き込んでしまいました。
この作品は見えないものも含めて世界を捉えることを促しています。大小様々な形の鏡で作る美しい配置と、圧倒的なスケール感、ああ、観に来て良かったと思う作品です。

本と化石でたどる地球の記憶

本を積み重ねて地層に見立てた新作《Strata》
地層は、自然環境の情報が刻み込まれた「歴史書のようなもの」から着想を得たそうです。

本棚は正六角形 その構造は自然界で多く見られる
地層に見立てた歴史書

約500冊の本と、鉱石や化石で生物の誕生から人新世までの時と知の連なりを表しています。
私もそうでしたが、子供の頃、図鑑を見るのが好きだった方は、ここで知的好奇心を思いっきり揺さぶられてください。この会場は、全展示が想像以上の面白さ、奥深さで圧倒されました。
ぜひ、会場でいただける作品詳細を読みながら、ブラックホールから銀河の秩序を、道端のカタバミから農作物の未来を、そして自分とこの世界を、捉え直してみてください。

Oxalis corniculata カタバミ  葉の色のグラデーションが美しい。

無料で満たされる知的好奇心(銀座に感謝)

それぞれの展示の詳細です。銀座で無料の展示は本当にありがたいです。
資生堂ギャラリーは会期終了が迫っていますのでお気を付けください。

無料でアートを楽しめるギャラリーが多く定期的に訪れる銀座。何度行っても道を覚えられませんが、何度行ってもワクワクする街です。
人間の技術が集まった世界から、自然界の法則や、私たちがまだ捉えきれない世界へ。
その振れ幅の大きさに魅了された展示のはしごになりました。

【メタル】展
銀座メゾンエルメス ル・フォーラム
会期:2025年10月30日 ~ 2026年1月31日まで
閉館日:水曜日 入場無料 

【この世界の捉え方】
資生堂ギャラリー
会期:2025年8月26日 ~ 12月7日まで
休館日:月曜日 入場無料

今回の寄り道カフェは、銀座で大好きなカフェに行きましたが満席で待ち時間が読めず諦めました。ケーキを注文すると、ケーキが並ぶお盆を持って席まで見せに来てくれる老舗カフェを紹介します。
銀座ウエストでは、どこか懐かしい“ハレの日の味”に出会えます。

【銀座ウエスト】
東京都中央区銀座7-3-6 資生堂ギャラリーから徒歩4分
[月〜金曜日]AM 9:00 ~ PM 9:00
[土曜・日曜・祝日]AM 11:00 ~ PM 8:00
お席の予約は出来ません。お店の詳細はこちらから

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