阿部勤の「暮らしのデザイン」──建築家の自邸に見る心地よさ

阿部勤の自邸 “中心のある家” を体感できる展示
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国立新美術館の展示「リビング・モダニティ 住まいの実験」を見てから建築家の自邸に興味を持ち、実際に前川國男邸の見学に行ったりしました。
今回は、建築好きな方が紹介していたGALLERY A4で行われている「建築家・阿部勤のいえ展」に行ってきました。
初めて知った建築家・阿部勤さんは、日々の暮らしのなかに愉しみを見出し、空間で表現する達人でした。

▼前川國男邸見学の記事はこちら

「建築家の住まい」を訪ねて :前川國男邸
「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」で心に残ったのは、建築家たちが「住まうことの意味」に真摯に向き合っていた姿でした。自らの理想を形にした“建築家の自邸”が、いかに創造の実験場であったかに強く惹かれました。

GALLERY A4(ギャラリー エー クワッド)

“建築・愉しむ” をコンセプトに掲げているギャラリーで、建築を中心にアートなど様々な企画をされています。私も過去には、イームズハウス、二人のアアルトなど家具・デザイン好きとして展示を楽しみました。

ギャラリーのある竹中工務店東京本店前のオブジェ

建築家・阿部勤のいえ展  暮らしを愉しむデザイン

阿部勤が設計した自邸は「中心のある家」と呼ばれ、竣工後50年経ったいまでも多くの人を魅了しています。仕事場兼遊び場であるこの自邸で、木漏れ日や、吹き抜ける風を感じつつ、時には料理をして、人をもてなしながら語り合う時間を生涯愛しました。建築家による100㎡の小さな<いえ>の中に、詰め込まれたデザインの思想が、豊かな暮らしとは何かを問いかけます。

GALLERY A4

▼詳しい展示情報

https://www.a-quad.jp/exhibitions/127/index.html

家の原点 タイでのプロジェクト

坂倉準三建築研究所勤務時代に取り組んだタイの学校施設改善計画。
阿部勤氏とともにタイに派遣された室伏次郎氏が語る、当時の回想映像がとても興味深かったです。
タイ各地を回ってわかったのは、庇で日陰をつくり、水瓶を置き、植物を育て、風通しを確保しながら暮らす生活様式。日本でシステム化した工業製品をタイで作り上げてはダメだと、プロジェクトの方針転換をしたという話はとても心に響きました。

この体験が、単に“形としての家”ではなく、“生き方としての家”を考える視点につながったのだと思います。

自邸だからこその遊び心

タイの生活空間で感じた心地よさの要素が、自邸「中心のある家」のベースになっているようです。
見通しがきいて、かつ隠れられる。そんな、人が本能的に安心できる家のつくり。
居心地のいいデイベットが3カ所もあってどこでもくつろげたり、囲まれているけどほどよく外を感じられる窓辺で本を読んだり、気分に合わせた過ごし方が出来る自由な家。
今も人々から愛され続ける家は、自分の好きを詰め込んだ遊び心満載な家でした。

設計図や模型も並ぶ。そして愛用品の展示も。
丁寧な資料の展示

居心地の良さを覗いてみる

そんな居心地のいい自邸「中心のある家」の一部が再現されています。
実際の家の雰囲気がうかがえる嬉しい展示です。

コンパクトながら機能的なキッチン。奥行きがあり見渡せるのがいいですね。
デイベッドコーナー 部屋の隅っこは私も好きです。本も近くに置いてゴロゴロ😊

椅子好きとしては、坂倉順三氏から結婚祝いに贈られた椅子の実物を見れたのも嬉しかったです。

意外にもコンパクトなデスク
パーシモンチェアに似てる!?
スタイリッシュ~♡

見学を終えて

私は資料や設計図よりも、阿部氏ご本人、息子さん、関係者の方々が語る映像で、阿部氏の建築や家に対する思いがすんなり頭に入ってきました。ぜひ、全ての映像をお楽しみいただきたいです。
きっと私のように阿部勤のファンになること間違いなしです!

建築を学んだことがない私でも、心地よさが伝わってくる楽しい空間でした。
日々の暮らしを慈しむ気持ちを、家のあり方から見つめ直したくなる展示でした。

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本でじっくり味わいたい

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