アイルランド映画祭2025レポート:遠くて近い国のやさしさ

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アイルランドの小説『ほんのささやかなこと』がとても面白かったので、本を読み終えたあと、もっとアイルランドのことを知りたくなりました。

そんなときに開催されたのが「アイルランド映画祭2025」。
都内でアイルランド映画をまとめて観られる貴重な機会です。

本と映画。
ジャンルは違っても、人や土地に流れる空気を感じるという点ではどちらも旅に似ていて、心が豊かになる気がします。

▽『ほんのささやかなこと』私の読書記事

守るために強くなる ──『ほんのささやかなこと』クレア・キーガン
「イギリス」という国はない──そんな説明を聞くたびに、一瞬驚き、ああそうだったな、と思う。イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドから成る「イギリス」。 そして今回、「アイルランド」はその中に含まれていないと知ってまた驚く。

映画でめぐるアイルランド──映画祭2025を訪ねて

今年で3回目となる「アイルランド映画祭2025」は、恵比寿のEBISU GARDEN CINEMAで開催されました。
上映作品はすべて日本初公開。私は、公式サイトの紹介文から心惹かれた2本を鑑賞しました。

▽アイルランド映画祭2025公式サイト(※2025.6.12終了)

『アイルランド映画祭2025』公式サイト
アイルランド映画祭2025 心温まるコメディ、珠玉の感動作、優れたドキュメンタリーなど、アイルランド映画の魅力がたっぷり...
会場の「EBISU GARDEN CINEMA」がある恵比寿ガーデンプレイス。

4人の母たちと息子の奮闘劇──『フォー・マザーズ』

あらすじ

ゲイの作家エドワードは、小説の宣伝と新作の執筆に追われながら、母親の介護にも奮闘中。
ある週末、友人たちが彼らの母親を次々と置いていって、エドワードの家は母親だらけの大混乱に──!

▽フォー・マザーズ|アイルランド映画祭2025公式X

感想

母親役の俳優が素晴らしく、表情だけで心情が伝わってくる場面が多くありました。
ときに息子を困らせ、ときに心配し、何かを悟って驚く── その一つ一つに引き込まれました。

一方で、どんなに疲れても母親を一番に想うエドワードの優しさと、本音を吐露する場面には胸を打たれました。

最後には、観客の私も、母親たちと一緒にエドワードを応援したくなってしまって…。
愛しくて、笑えて、ちょっぴり泣ける、とてもチャーミングな作品でした。

自然とともに生きる夫婦の選択──『湖畔』

あらすじ

ジョン・マクガハンの名著『湖畔』をパット・コリンズ監督が映画化。
アイルランドの田舎町で、自然に囲まれながら暮らし始めた若い夫婦と、地元の人々との静かな交流を描きます。

▽湖畔|アイルランド映画祭2025公式X

感想

鳥の声、牧草地、湖の静けさ──アイルランドの美しい自然は、永遠の時を刻むようでした。
ただそこにあるだけで心を満たしてくれます。
けれど、その地に暮らす人々にとっては、それが当たり前であるがゆえの苦しさもありました。

土地や家族、世間体に縛られながら老いていく姿には胸が締めつけられます。
それでも、湖畔に移り住んできた夫婦が自然を愛し、住民と誠実に向き合う様子は、確かな希望として描かれていました。

永遠に続く自然と、限りある人の営み。
その折り合いをどう生きるか──そんな問いをやさしく投げかけてくる作品です。

人を想う気持ちに出会う、アイルランドという国

2本の映画に共通していたのは、不器用でも人を思いやりながら生きていく人々の姿でした。

家族との関係に悩んだり、土地や老いに縛られながらも、誰かを大切に思い、心を通わせる。
そんな人間らしい営みが、あたたかく丁寧に描かれていて、観終えたあともしばらく余韻が残りました。

遠く離れたアイルランドという国が、こんなにも身近に感じられたのは映画のおかげです。
来年もまた、映画を通してその国の文化や人々に出会えることを楽しみにしています。

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日本で一番行きたい自然、御射鹿池 (画像・テキストクリックで旅行サイト「じゃらん」に飛びます。)

水面に映り込む木々が神秘的

どこか旅に出たい

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